日本とデンマークの外交関係樹立150周年に向けて、8人の親善大使が任命されました。各方面でご活躍の方々で、両国との親しい関係性を通じて記念年に貢献してくださるでしょう。

島崎信

Makoto Shimazaki 1

建築家、デザイナー、武蔵野美術大学名誉教授。北欧デザインの第一人者。

「デンマーク芸術アケデミーの研究員生活を終えて、1960年に帰国した私は、二つのミッションを心に定めていました。

1つは師事したオーレ・ヴァンシャー教授の指導と、ハンス・ヴェグナー、フィン・ユール、ポール・ケアホルム、などの秀れたデザイナー業界の知遇から得た、「デンマーク家具の心と技」を、日本にぜひ伝えたいとの想いでした。 2つ目は、遠い異国の日本人を、しかも当時は、デンマークデザインのイミテーション国からの私を、一個人として暖かく迎え入れていただきました。その豊かで心地良いデンマークの暮らし方と、美しい生活デザインの調和を、ぜひ日本の人々に伝えたいという願いを胸に抱いての帰国でした。

それから半世紀を過ぎた今日、第1のミッションは「デンマーク、北欧家具」の名の下に、日本に定着出来たかな?と思っています。

しかし、2つ目の「デンマークの暮らし方と生活デザインの調和」については、未だ道なかばで、これからも私のやるべきことはまだ終わっていないと思っています。

修好150周年、心を新たに、努力してみようと思っています。」

立原えりか

 

Erika Tachihara 1

童話作家、H.C.アンデルセン専門家。

「童話作家になりたい」と激しく願ったのは十代の終わりです。デンマークに行って人魚姫の像に会い、アンデルセンの墓参利をしたら願いがかなうと思いました。H・C・アンデルセンの作品が大好きだったのです。格安金をためました。コペンハーゲン行きの航空機に乗ったのは、二年以上過ぎてからです。たどりついたデンマークの空は淡い青いで、道ばたで生のグリンピースを発っていました。心を打たれたのは、ほほえみかけてくれた人びとです。願うばかりで必死だった私はみんなからたしなめられたのです。

「ぎらぎらしないで、あたりまえに楽しんでいきればいいのよ」

ほほえみがなつかしくて、デンマークに通っています。ハートのついているコインが、宝ものになりました。」

岡田美里

Millie Okada 1

東松島ステッチ・ガールズ代表、デンマーク企業ブランドアドバイザー。

「日本デンマーク外交樹立150周年おめでとうございます。ホテルや西洋料理が続々と開業していった150年前の日本。その地に下り立ったデンマーク人は着物姿の日本人と出会い、どんな気持ちだったのでしょうと想像の翼が広がります。おもてなしの心をヒュッゲと呼ぶデンマーク人と、茶の湯で客人をもてなす日本人が意気投合する姿を、私は祖父母の姿に映します。牛のミルクからバターを手作りし、日本でもデニッシュペストリーを焼いたデンマーク人の祖母は、今度の東京オリンピックの舞台となる神宮外苑に居を構え、当時のデンマーク大使ご家族の乳母として生計を助けていました。

このたび私自身はGoodwill Ambassadorとして、東京と神戸でデンマーク刺繍の展覧会を企画し、刺繍で描くデンマークの街角を日本の皆様に発表したいと考えています。小さな展覧会になりますが、それをいちばん喜んでくれるのは天国の祖父母ではないでしょうか。」

三分一博志

Hiroshi Sambuichi 1

建築家、デンマーク王立芸術アカデミー非常勤教授。

「私とデンマークとのつながりは、およそ10年前、デンマーク王立芸術アカデミーの建築の学生をインターンとして受け入れたことに始まります。その後同校での講師を経て教授となり、講演会をしたり、毎年50人の学生や教授を瀬戸内に招き、宮島、直島、犬島などの瀬戸の島々をフィールドとして、実際に日本の気候を体感しながら私の設計した建築を案内したり、ワークショップを行なったりと累計数百人を受け入れ、特にデンマークの若い、未来の人材との交流を積極的に続けて参りました。

その他にも、2011年にはルイジアナ美術館で開催された建築シンポジウムに招いていただいたり、デンマークの国営放送(DR)の番組への協力、2011年3.11東日本大震災の直後には、いち早く駐日デンーク王国大使館に招かれ、復興に向けたディスカッションに参加しました。そのお心遣いにデンマークへの感謝の念を覚えました。2016年、初の個展(TOTOギャラリー・間)での作品集出版では、編集からデザイン、レイアクトに至るまですべてデンマークのチームで編成し、グリーンランドの自然学者との交流も生まれました。そして、2017年には外交関係樹立150年を記念してCisternerne(フレデリクスベア市ミュージアム)とDAC(デンマーク建築センター)で同時開催のエキシビションが行なわれます。教育・美術・書籍出版・メディア・自然学・建築と、デンマーク文化との深い関わりが年々増えてきました。それらの交流で一貫していたテーマは自然でした。

私がここで最もお伝えしたいことは、「デンマークの人柄」の素晴らしさです。

まず第一に、私は自然を愛する人が好きです。建築はもとより、美術・メディアにいたるまで私が交流した多くの人からは、常に自然を大切にしようという心が伝わってきました。また、人を分け隔てなく、とても友好的な交流が様々なジャンルをまたぎながら、コンパクトに行なえるところが彼らの国の基本にあり、自然を守っていくことが人々を平和な暮らしへと導いていくことを確信しているように感じています。同じ小さな国、日本として学ぶところが多くあると思っています。

来年は国交樹立150周年にあたる記念すべき年であり、これからの両国の在り方を考える重要な年でもあります。先人たちが築き上げてきた両国の関係を大切にし、さらに世界を巡る自然観や平和観を両国が先頭にたって進めていけるような関係になると良いと心より思っています。」

ユキ・パリス

Yuki Pallis 1

キュレーター。デンマークの家具や照明などのコーディネーターとして活躍。

「デンマークの友人の建築家が学生時代、先生から、「素直な材料で、簡素で美しいものを作る国が世界に二つある」、「一つはデンマークでもう一つが日本である、、、」と教えられたと話してくれました。

禅の侘びやさびの簡素な美学。デンマークのミニマムで洗練されたデザイン。共通点の多い、遠くて近い二国です。しかし、また、違いも多い、遠い国でもあります。そして、スポーツなどの国際試合でデンマーク対日本という対戦になると,日本で生まれ育ち、デンマークに人生の半分以上を住まいした私は「どちらも勝って欲しい」と両方の国を応援します。こういう時は二国間に距離はありません。人の思いは実際の距離も縮めてしまう一例です。外交150周年。当時の人の往復や通信にはどれほどの時間を要した事でしょう。今は飛行機に乗れば9時間半の距離で、通信もメールなら瞬時です。私も二つの国の情報を今まで以上に伝え、互いの理解と親しみで近い距離に感じていただけるよう、努めたいと思います。」

秋山和慶

Kazuyoshi Akiyama 1

指揮者。デンマークの作曲家カール・ニールセンの作品を積極的に紹介している。

「このたび「2017 日本デンマーク外交樹立150周年 グッドウィル・アンバサダー(親善大使)」に任命されたことを大変うれしく思います。

デンマークへはオーケストラ”コペンハーゲン・フィルハーモニー管弦楽団”と共演させて頂く際に何度か訪れたことがあります。

コペンハーゲンの美しい自然や街並み、そして人々の優しさに触れ、大変感動した記憶が鮮明に残っております。

また、デンマークを代表する作曲家カール・ニールセンは、私の大好きな音楽家の1人です。彼の交響曲は日本ではもちろんのこと、様々な国でも取り上げて演奏を行ってまいりました。北国の厳しい冬を想わせるメランコリックな曲調の中にも、ひとときの夏への憧憬が感じられるよう作品等々、まさに”デンマーク”を感じられる音楽です。

音楽を通してデンマークの魅力を多くの皆さまにお伝えしていければ幸いです。」

行正り香

Rika Yukimasa 1

料理研究家、デンマークのインテリアデザインにも造詣が深い。

「デンマークと私の初めての出会いは、もう18年前くらい。2月の寒い冬のことでした。会社に勤めていたころ、出張で行ったのですが、なんだかデンマークで仕事をしていると、エネルギーをいただくような気がしてきます。デンマークの人たちの言葉の伝えかた、接し方、そして仕事をしている空間の照明やインテリアが、なんとも心地よいのです。仕事を通じて、20回近くデンマークに行き、いろんな人たちと話をしてきました。そして、気がつきました。「私たちは、価値観が似ている」と。社会に対して感じること、大切にしたいもの、美しいと感じるもの、生活で大切にしたいもの、家族への接し方、それらの根底の部分で、どこか交わる部分が、多いのです。

デンマークのものを買って、日本に持って帰っても、不思議なほどしっくり収まります。デンマークの建築を見ていても、「あ、これが日本にあっても、きっとおかしくない」と感じます。互いにLess is moreということをデザインや生活に取り入れてきたからではないでしょうか。

デンマークと日本は、繫がるべくして繋がり、互いを尊重しあっていく関係だと思います。これからも学び合い、高め合っていけたら素敵です。」

ニコライ・バーグマン

Nicolai Bergmann 1

フラワーアーティスト。

「私はデンマーク人でありながら、20歳から住み続けている日本を第二の故郷と感じています。デンマークと日本の両国の間に存在する多様性や文化的な違いや特徴はどれも面白く、これらを自身のフラワーデザインにうまく反映することで和と洋を融合させた独自のスタイルを築くことができました。デンマークと日本の間にはもちろん異なる特徴が多くありますが、アートやデザインへの高い関心、四季に対する想いや平和の尊重性という共通する部分もたくさんあります。

日本とデンマークが外交樹立150周年を祝う今年、私が親善大使として選ばれましたこと、大変光栄に思っています。2017年に予定されている様々なイベントやプロジェクトが実施されていく予定の中で私の知識や経験を多くの方に伝えられることを心より楽しみにしています。この一年の活動を通してデンマークと日本を愛する心を届け、両国に対する関心や理解を深めることに貢献し、繋がりをより強いものにできれば幸いです。

改めてデンマークと日本の友好的な未来を希望すると共に外交樹立150周年を心からお祝い申し上げます。」